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B型肝炎について

B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって起こる肝臓の病気です。


■症状

B型肝炎ウイルスの感染には、急性感染と持続感染があります。
 B型肝炎ウイルスに感染すると、全身の倦怠(けんたい)感に引き続き食欲不振・悪心(おしん)・嘔吐(おうと)などの症状が現われ、これに引き続いて黄 疸(おうだん)が出現することがあります。他覚症状として、肝臓の腫大がみられることもあります。これが、急性B型肝炎の症状ですが、症状が出ないまま 治ってしまう場合があります。これを不顕性感染と呼びます。
 B型肝炎ウイルスに持続感染している人(HBVキャリア)ではこれらの症状が出なくても慢性肝炎が潜んでいて治療が必要な場合がありますので、定期的に検査を受け、必要に応じて適切な治療を受けるなど健康管理を行うことが大切です。


■治療法

B型肝炎の治療法には、大きく分けて、肝庇護療法、抗ウイルス療法、そして免疫療法があります。
 急性B型肝炎は、急性期の肝庇護療法により、ほとんどの人で完全に治癒します。しかし、急性B型肝炎を発症した場合、まれに劇症化して死亡する場合もあることから注意が必要です。
 HBVキャリアの発症による慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変など)では全身状態、肝炎の病期、活動度などにより、治療法の選択が行われます。
 抗ウイルス療法には、インターフェロン療法、インターフェロンと副腎皮質ステロイドホルモンの併用療法、ラミブジン内服などがあります。免疫療法には、 副腎皮質ステロイドホルモン離脱療法、プロパゲルニウム製剤内服などがあります。また、肝庇護療法には、グリチルリチン製剤の静注、胆汁酸製剤の内服があ ります。
 いずれの治療法も「肝臓の状態」や全身状態を的確に把握した上で、経過をみながら、副作用などにも注意して慎重に行う必要があるため、治療法の選択、実施にあたっては肝臓専門医とよく相談することが大切です。


■予防法

B型肝炎ウイルス(HBV)キャ リアの方は、肝臓に負担をかけないよう、規則正しい生活を心がけて、ストレスや過労を避けるようにしましょう。また、栄養バランスを考えた食事を規則正し くとるようにしましょう。以下に、日常生活におけるいくつかの注意点を示します。しかし、病状によって注意事項も変化していきます。疑問に思う点があった ら自分で判断せず、医師に相談することが大切です。

▼食事
普通食を基本とした、3食バランスの良い食事をします。毎回の食事では、主食(ご飯やパン)、主菜(魚・肉・卵・大豆製品)1品 、副菜(野菜)2品をとるよう心がけてください。

▼お酒
肝炎ウイルスキャリアの場合には少量の飲酒でも肝機能が悪化するため、禁酒が必要です。

▼お風呂
ぬるめのお湯に入り、長湯は避けてください。熱いお風呂に長い時間入ったり、サウナに入ったりすると、かなりの体力を消耗するので避けましょう。体調の良くないときは、無理をせずにシャワーを浴びる程度にしましょう。また、食後1時間はお風呂に入るのは避けましょう。

▼お薬
お薬には肝臓に負担をかけてしまうものもあるため、薬局に売っている薬でも自己判断で飲まないようにしましょう。肝炎の 初期症状を風邪と間違える可能性もあり、自己判断で薬を飲むと肝臓に負担をかけてしまい、その結果かえって症状を悪くする危険性があります。必ず病院に行 き、医師の診察を受けるようにしましょう。

▼健康食品・サプリメント
健康食品やサプリメントの中には、服用の方法によってはかえって健康を損なう場合もあるので注意が必要です。他の薬との併用により肝障害が引き起こされる可能性もあります。健康食品やサプリメントを服用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談しましょう。

▼仕事
激しい肉体労働を除けば、一般的な仕事は問題がないでしょう。しかし、慢性肝炎は自覚症状があまりないため、無理をしてしまい症状を悪化させてしまう危険性があります。無理をせず、規則正しい生活を心がけましょう。

▼旅行
不慣れな土地での長い旅行は、体に負担をかけてしまうおそれがあります。無理のない旅行日程をたて、気持ちにゆとりを持って楽しむようにしましょ う。旅行の前後は医師に相談をし、自分の肝臓の状態を把握しましょう。また、急な容態変化に備えて、旅行先の病院を調べておくと安心です。お薬と保険証を 忘れずに持っていきましょう。

▼定期検査
B型肝炎はどのような経過をとるのか判断が難しいため、キャリアの方は、たとえ症状が落ち着いている場合でも、定期的(2〜3ヵ月ごと)に肝臓の検査を受け、肝臓に異常が生じていないか確認するようにしてください。
定期検査を受けましょう

HIVについて

 エイズ(後天性免疫不全症候群:AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV—1)の感染によって引き起こされる疾患です。HIV感染症は性感染 症で、異性間あるいは男性間の性行為により感染します。また血液を介しても感染します。薬物中毒者の針の使いまわしで感染したり、出産時に感染した母親か ら赤ちゃんに感染したりすることもあります。


■症状

 HIV感染症に特徴的な症状はありません。感染成立後に起こる急激なウイルス増殖に対する免疫反応として、発熱、頭痛、関節痛、倦怠感(けんたい かん)、発疹、リンパ節の腫大、一過性の末梢血リンパ球低下などの、一般的なウイルス感染症の症状を示すことがありますが、無症状のこともあります。特徴 的な所見がないことから、HIV—1に感染した事実に気がつかないことが多々あります。
 HIV感染症は、5〜10年ほどかけて感染者の免疫力を 奪っていきます。この間、無症状で経過することが多いのですが、HIV—1は生体内で盛んに増殖をするため、血液検査で白血球数や血小板数の減少を認める 場合があります。そして、病気の進行とともに発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気・嘔吐などの症状が出てきます。
 最終的に深刻な免疫不全に陥り、カリニ肺炎などの日和見(ひよりみ)感染症、悪性腫瘍、痴呆(ちほう)症状などを合併します。免疫不全症状を示すようになった状態を、エイズ(後天性免疫不全症候群)と呼びます。


■治療法

 HIV感染症の治療薬剤は現在17種類あります。逆転写酵素阻害薬(ぎゃくてんしゃこうそそがいやく)と呼ばれるものが10種類、プロテアーゼ阻 害薬と呼ばれるものが7種類あります。これらの薬剤を3剤以上組み合わせた多剤併用療法が、標準的な治療法として行われています。
 多剤併用療法は著しい効果をあげており、この治療方法が始まってから、エイズで亡くなる患者さんの数は大幅に減りました。それでも、多剤併用療法でHIV感染症を根治することはできないため、患者さんは生涯薬をのみ続けなければなりません


■予防法

HIV の感染予防の基本は、以下の1〜3の主な感染経路を遮断することにあります。

1. 血液を介した感染経路の遮断:汚染血液・血液製剤による輸血の危険を回避するための血液スクリーニング。薬物乱用者との薬物の回し打ち(ニード ル・シェアリング)を行わないこと。我が国ではさらに、検査目的で献血が行われることのないような体制作りと啓蒙活動が必要です。 血液スクリーニングは、日本赤十字の血液センターにおいてHIV抗体検査とNAT検査(HIV遺伝子-核酸増幅検査)が行なわれています。NAT検査は、 従来法よりも早期にHIV感染したことが分かる新しい方法で、1999年10月から導入されました。検査の結果、HIV感染が確認された血液検体は全て焼 却されることになっています。献血された血液のHIV感染陽性件数は、2002年時点で10万件当たり1.418件(82件/5,784,101件)と なっており、10年前の1992年時点の10万件当たり0.441件(34件/7,710,693件)から少しずつですが毎年増加しています(2003年 9月、病原微生物検出情報)。
2. 性的接触による感染を防ぐための安全なセックスの実行:コンドームの使用。不特定多数のパートナーとの性交渉を避ける。感染のリスクの高い肛門性交をさけることなど。
3. 母子感染の防止策:感染した母体から約30%の頻度で児に感染するといわれていますが、感染母体および出生児への抗ウイルス薬(AZT やネビラピン)の投与によって、感染を防ぐことが可能となっています。エイズは依然その拡がりを制御することが困難な病気ですが、少なくとも、母子感染に よる次世代の感染に関していえば、現在の医学によってすでに予防可能な状況となっています。
4. その他、臓器・角膜移植などによる稀な感染例が知られていますが、蚊による刺咬や、握手、抱擁、軽いキスなどの日常的な接触(カジュアル・コンタクト)によっては感染しません。

感染予防の究極の方法はワクチンです。しかし、HIV は、その表面にある抗原の種類が個々のウイルスごとに多様性があり、かつ著しい変異性を示すこと、HIV が免疫応答の中枢にあるヘルパーT 細胞そのものを破壊することなどに加えて、ワクチン開発研究のための優れた動物モデルがないことなど様々な要因から、ワクチンの実用化の目途はまだたって いません。新たな感染の90%が高価な薬物療法の恩恵を享受できない開発途上国に発生していることを考えると、有効なワクチンの一日も早い開発が望まれま す。

C型肝炎について

最近「C型肝炎」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。検診などで肝障害を指摘され、病院に行ったら「C型肝炎」と言われて戸惑った方もおられるでしょう。肝臓病にも色々ありますが、特に知っておいて頂きたいのが「ウイルス性肝炎」です。と言うのも、ウイルス性肝炎は肝硬変や肝臓がんに進展する可能性があるからです。
 ウイルス性肝炎にはA型、B型、C型、D型、E型が知られていますが、D型肝炎はアマゾン川流域、E型は東南アジア(ヒマラヤ肝炎ともよばれる)などに限られており、日本ではほとんど見られません。日本で多いのはA型、B型、C型です。この中で特に重要なのが「C型肝炎」です。
 「肝硬変」や「肝臓がん」という病名はみなさんも聞いたことがあるでしょう。やっかいな病気です。しかし、これらの病気はカゼのようにいきなりかかるのではなく下記のような経過をたどるのがほとんどです。


■症状

慢性肝炎の時には無症状のことが多いですが、倦怠感や食欲不振を訴える患者さんもおられます。
病状が進んでいくと(肝硬変)、本格的に症状を感じるようになります(無症状の人もいます)。
倦怠感・上腹部の鈍痛、膨満感、食欲不振、吐き気、発熱、筋肉痛・関節痛などを自覚するようになり、クモ状血管腫(胸などに小さな血管が浮き出てくる)、女性化乳房(男性の乳房がはってくる)、黄疸(目が黄染されてくる)、手掌紅斑(手のひらが赤くなってくる)、腹水(お腹に水がたまってカエルのように腹が出てくる)、浮腫(足が腫れてきて指で皮膚を押すとくぼみが残る)などの所見も出現してきます。
肝硬変ではアルブミンと呼ばれるタンパク質が低下してきますが、アルブミンは水分を血管内にとどめておく働きがあり、これが低下することによって水分が血管外にしみ出し、浮腫や腹水の原因となります。
また、肝硬変が進行すると門脈という血管の圧が上昇し(門脈圧亢進症)、腹水の原因となったり、食道に静脈のこぶが出来て(食道静脈瘤)、それが破裂すると大量に吐血する患者さんもおられます。 


■治療法

▼インターフェロン(IFN)
 現在C型慢性肝炎にもっとも有効といわれている治療法で、1992年より保険適応となりました。インターフェロンはウイルスの排除を助け、増殖を抑制す る作用があります。インターフェロンはウイルスに感染したときに体内でもつくられる物質(タンパク質の一種)で、C型肝炎の感染でもつくられるのですが、 量が不十分であることがわかっています。そこで、C型慢性肝炎の患者に外部からインターフェロンを薬として投与しようというものです。
 肝炎にかかってからの期間が短く、ウイルスの量が少ない人ほど効果があります。先ほどウイルスの型についてのコーナーで、「インターフェロン療法は、II型よりIII型が効きやすい」とお話ししましたが、重要なのはウイルスの量で、 II型であってもIII型であってもウイルスの数が1ml中に100万個以下であれば効果が期待できます。「インターフェロンが著効するのは投与した患者 さんの4割くらいだ」とお医者さんに言われたことはありませんか?確かに今までそういったデータが多くの施設から出され、定説みたいになっていますが、医 者が適切な検査のもとに適応をきちんと検討すればもっと効果は上がるものと考えられます。
 インターフェロンには、α、β、γの3種類があり、現在使用されているのはインターフェロンαとインターフェロンβです。αは筋肉注射・皮下注射、βは静脈注射で投与されます。インターフェロンは2〜4週間くらいの入院が必要で、最初2〜4週間毎日投与され、その後20〜22週間は週3回の投与を行うのが一般的です。
 なお、インターフェロンにはさまざまな副作用があり、事前にお医者さんから詳しい説明をしてもらうべきです。

※インターフェロンの考えられる副作用
1)発熱・インフルエンザ様症状
 (発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉・関節痛など)
  →投与開始時に特によく見られます
 (10日前後で改善することが多い)。
  坐薬などで対応します。
2)精神神経症状
 (抑うつ、けいれん、意識障害、知覚障害、
  めまい、眠気、不安、不眠、痴呆症状)
3)ショック症状
 (血圧低下、尿量低下、その他)
4)過敏症状
 (発疹、かゆみ、その他)
5)血液検査異常
 (白血球・血小板数減少、貧血、出血傾向、その他)
6)肝臓障害
 (GOT, GPT, LDHの上昇、ときにALP, γGTP,
  ビリルビンの上昇、その他)
7)腎臓障害
 (蛋白尿、BUN, Cr の上昇、腎障害)
8)消化器症状
 (食欲不振、悪心、嘔吐、ときに下痢、便秘、腹痛、
  口内炎、口渇、 味覚異常、その他)
9)皮膚症状
 (脱毛、発疹、その他)
  脱毛は後期の症状です。
10)循環器症状
 (ときに心不全、心電図異常、その他)
11)内分泌症状(甲状腺機能異常(亢進症・低下症)、
  糖尿病、その他)
12)間質性肺炎
 (特に小柴胡湯などの漢方薬との併用に注意)
13)感染症
 (肺炎・膀胱炎など)
14)その他
 (視力障害、眼底出血、ときに呼吸困難、体重減少、
  血清総蛋白減少、注射部位の疼痛など)
15)65才以上の高齢者は副作用の発現が高い
  と言われています。

 上記の副作用を見て、その多さに驚かれた方もいるかもしれません。しかしこれは患者さんが事前に知っておくべき情報として、出現する可能性がある 副作用を頻度のごく少ないものまで羅列しただけですので心配されないで下さい。医師の適切な指導と副作用の監視のもとにインターフェロンは投与されますの で、どうぞ患者さんは治療に専念して下さい。

   

▼強力ネオミノファーゲンC(SNMC)
 強力ネオミノファーゲンCは、グリチルリチンを重要な成分とする配合剤です。グリチルリチンには抗炎症作用や免疫調節作用があり、特に抗炎症作用は細胞膜の安定化や再生を促進し、肝機能検査でGOTやGPTを効果的に改善させていきます。ただし、これはインターフェロンのようにウイルス自体に対する直接的な作用はありません。また、投与は毎日あるいは週数回、連続して長期間投与する必要があります。インターフェロンの副作用が出やすい高齢者や、何らかの理由でインターフェロンが使用できない方に、肝炎を抑えていくという面で強力ネオミノファーゲンCがいい適応だと思います。
 なお、強力ネオミノファーゲンCは副作用が少ない薬剤ですが、グリチルリチンのアルデステロン様作用により低カリウム血症や高血圧をきたすことがあります。また、かゆみを伴う皮疹が出現することもあります。


■予防法

C型肝炎は血液で感染するので、出血を伴うアナルセックスでは、感染する可能性があります。精液についての可能性は否定できませんが、可能性は低いだろうと言われています。アナルセックスの時にコンドームを付けることで予防できると考えられます。

トリコモナスについて

腟トリコモナス原虫(げんちゅう)の寄生によって起こる腟炎です。腟だけでなく、尿道、膀胱などにも感染し、尿道炎、膀胱炎、外陰炎(がいいんえん)などを合併することもあります。この腟炎は、性行為のある成熟期女性に多く、お年寄りにはあまりみられません。また、細菌性腟炎との合併も多いといわれています。
感染経路は主に性行為によります。それ以外に、衣類、タオル、浴槽縁などを介しての感染もあります。また、分娩時に母体からの産道感染もみられますが、新生児感染症はごくまれです。


■症状

感染後、約3週間で症状が現れますが、約50%は症状のない無症候性です。
症状としては、悪臭の強い、時に膿性(のうせい)の、泡沫状(ほうまつ じょう)の帯下(たいげ)(おりもの)の増加、外陰部掻痒感(そうようかん)(かゆみ)、刺激感などがあります。腟壁の発赤、子宮頸部(けいぶ)の点状出 血斑が認められることもあります。


■治療法

治療は、腟洗浄のあと、メトロニダゾール(フラジール)またはチニダゾール(ハイシジン)の内服または腟錠、もしくは双方の併用を連日、10日間行います。
メトロニダゾール、チニダゾールの内服薬は、妊娠12週以内は禁忌とされています。また、薬剤が母乳中へ移行するため、授乳も中止します。
トリコモナスは性感染症であるため、治療は必ずセックスパートナーも同時期に同期間行います。男性の場合は、内服薬のみとなります。治療期間中は、ピンポン感染防止のために、性行為にあたってはコンドームを使用します。


■予防法

コンドームの着用。不特定多数との性行為の自粛。

膣カンジダ症について

生殖年齢にある女性では卵巣機能が活発で、エストロゲン(女性ホルモン)の作用により、多量のグリコーゲンを含んだ腟上皮(ちつじょうひ)細胞が増殖分化します。
腟内にはデーデルライン腟桿菌(ちつかんきん)(腟乳酸菌桿菌)という菌が常在していて、このグリコーゲンを乳酸に分解して腟内を酸性に保ち、ほかの細菌の侵入を阻止しています(自浄作用)。しかし、何らかの原因により、この自浄作用が破綻した場合に、いろいろな腟炎、外陰炎が発症します。
腟カンジダ症は、やはり腟に常在しているカンジダという菌が異常増殖して発症する病気です。その誘因としては、エストロゲン分泌亢進による、腟内pHの 低下に伴う細菌叢(そう)の変動、糖尿病、抗生剤投与による菌交代現象、妊婦、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の大量投与などがあげられます。
感染経路は、性交、便や尿、手指やタオルなどが考えられます。
腟カンジダ症は、外陰腟真菌症(がいいんちつしんきんしょう)の90%程度を占めます。75%ほどの女性は生涯に1回は、また45%ほどの女性は2回以上、外陰腟カンジダ症を経験するといわれています。


■症状

外陰部に掻痒感(そうようかん)(かゆみ)、灼熱感(しゃくねつかん)が強く現れます。粥状(じゅくじょう)、酒粕状の帯下(たいげ)(おりもの)が増加します。外陰部の発赤、はれがみられ、周辺に紅斑や小膿疱(しょうのうほう)を伴うこともあります。
カンジダに感染していても症状のないこともあり、通常は症状がある場合に治療を行います。


■治療法

抗真菌薬配合の腟錠を使用し、同時に軟膏やクリームを外陰部に塗ります。ステロイド軟膏の使用は禁忌です。薬剤は一般的に、イミダゾール系(アデスタンG100、オキナゾールV100など)を1週間程度使用し、効果が不十分な場合は、さらに1週間使用します。
難治性の場合は、原因の検索を行い、経口薬の投与も行うことがあります。ただし妊婦の場合、経口薬は使用しません。


■予防法

カンジダ症の予防は、まずこれらの湿気の多い箇所を常に清潔に保つことが最大の対策と言えるでしょう。もし予防に失敗し症状が悪化した場合には、すぐ皮膚科(病院)受診し菌(カビ)の確定をするよう努めなければなりません。

梅毒について

梅毒(ばいどく、英:Syphilis)は、スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマ (Treponema Pallidum) によって発生する感染症、性病。
主に性行為・オーラルセックスにより感染、皮膚や粘膜の微細な傷口から侵入し、進行によって血液内に進む。これ以外にも母子感染、血液を媒介とする感染もある。母子感染の場合、子供は先天梅毒となる。


■症状

感染後約3週間で発症する。治療しない限り体内に残り、最終的には死亡する。現代においては抗生物質の発達により、第3期、第4期に到達することはほとんどなく、死亡にまで至るケースは稀。

<第1期>
感染後3週間~3ヶ月の状態。トレポネーマが侵入した部位に塊(無痛性の硬結で膿を出すようになり、これを硬性下疳と言う)を生じる。塊はすぐ消えるが、稀に潰瘍となる。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れ、これを横痃(おうげん)という。6週間を超えると梅毒検査で陽性反応が出るようになる。

<第2期>
感染後3ヶ月~3年の状態。全身のリンパ節が 腫れる他に、発熱、倦怠感、関節痛などの症状がでる場合がある。 バラ疹と呼ばれる特徴的な全身性発疹が現れることがある。赤い目立つ発疹が手足の裏から全身に広がり、顔面にも現れる。治療しなくても1ヶ月で消失する が、抗生物質で治療しない限りトレポネーマは体内に残っている。

<第3期>
感染後3~10年の状態。ゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生する。また、3期まで来ると治癒は不可能である。

<第4期>
感染後10年以降の状態。多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳、脊髄、神経を侵され麻痺性痴呆、脊髄瘻を起こし(脳梅)、死亡する。


■治療法

男性の場合は泌尿器科・性病科、女性の場合は産婦人科・性病科を受診。
ペニシリン系の抗生物質の投与で治癒する。治癒に要する期間は2~8週間。
なお、感染してから1年以内の梅毒を治療した場合、初日だけ38度台の高熱が出ることがある。
菌が一気に死滅するための反応熱であり、治療はそのまま続けてよい。

マラリア療法について
梅毒トレポネーマは高熱に弱いため、梅毒患者を意図的にマラリアに感染させて高熱を出させ、体内の梅毒トレポネーマの死滅を確認した後キニーネを投与してマラリア原虫を死滅させるという荒っぽい療法がかつて行なわれていた。ただし、この療法は危険度が大きいため抗生物質が普及した現在では行なわれていない。

■予防法
コンドームの着用。不特定多数との性行為の自粛。
禁欲(最も確実な予防策であるが、現実的ではない。)

クラミジアについて

クラミジアとは日本でもっとも感染者の多いSTD(性感染症)で、外来診察を受けている患者だけでも100万人いると言われています。
これに次いで多い淋 病やヘルペスに比べれば圧倒的な患者数です。「クラミジア・トラコマチス」という細菌が、おもに性行為によって人から人へ感染していきます

■症状

▼女性の場合
子宮頚管炎は症状が少なく、感染を自覚することはあまりありません。オリモノが少し増えるといった症状を訴える人がいる程度です。しかし、次第に子宮内膜炎 →卵管炎→腹腔内感染にまで進むと激しい症状を訴える場合もあります。子宮付属器炎や骨盤腹膜炎になると下腹部の痛みや性交痛などを感じるようになりま す。クラミジアが腹腔内に広がっていき、さらに上腹部にまで達すると肝臓などの臓器にまで炎症が発症していきます。そうなると、非常に激しい腹痛を訴え て、救急車で運ばれることになってしまいます。それだけではなく、卵管の炎症から卵管周囲癒着などを起こして、卵管性不妊症の原因になったり、子宮外妊娠 の原因にもなります。

▼男性の場合
淋菌感染症による尿道炎ほど排尿痛はひどくなく、自覚症状がない人も少なくありません。軽い尿道掻痒感や不快感を感じる人もいます。尿道をおなか側から外尿 道口に向けて圧迫することで粘液性の分泌物を確認できる場合もあります。分泌物を確認する際には排尿後をさけ、できれば朝、排尿前などに尿道に溜まった分 泌物を調べるのが望ましいでしょう。検査を受ける際にも同様に朝、採取するほうがクラミジアの数も多く、より正確な結果を得ることが出来ます。


■治療法

男性の場合は泌尿器科・性病科、女性の場合は産婦人科・性病科を受診。
咽頭感染の場合は耳鼻咽喉科。 性器感染の場合は患部から体液を採取し、クラミジアの有無を調べる。

どこに感染しても治療法は同じで、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキロノン系の抗生物質・抗菌剤を2週間程度投与する事で治療できる。症状は数日でなくなる事が多いが完全に死滅していない事があるので、医師の指示通り服用する。途中でやめた場合ぶり返したり、菌に耐性がついて治りにくくなったりする事がある。また、薬に耐性のある耐性菌も増加している。


■予防法

コンドームの着用である程度予防することができるが100%ではなく、口から口へという場合などが考えられる。一番の予防法は不特定多数との性行為の自粛である。

淋病について

淋病(りんびょう)は、淋菌 (Neisseria gonorrhoeae) の感染により起こる感染症であり、STD、性病に認定されている。感染率は約30%である。
1984年をピークに減少したが、1990年代半ばから増加しつつある。性器クラミジア感染症と同時感染(淋病患者中20%~30%)している場合も多い。

■症状

感染後数時間から数日で発症する。咽頭の場合は咽頭炎、性器の場合は、尿道炎(男性のみ)、子宮頚管炎(女性のみ)を起こす。
男性の場合は排尿時や勃起時などに激しい痛みを伴うが、女性の場合は自覚症状に乏しい。
放置すると菌が奥へ進み、内臓の炎症、不妊症に発展する場合もある。


■治療法

男性の場合は泌尿器科・性病科、女性の場合は産婦人科・性病科を受診。咽頭感染の場合は耳鼻咽喉科。

スペクチノマイシン、セフォジジム等の抗生物質の投与で治癒する。
治癒に要する期間は3日~数週間。ただし近年は抗生物質の乱用から高い耐性を持つ耐性菌が蔓延しつつある。
耐性菌に感染した場合は、長期にわたる可能性がある。


■予防法

コンドームの着用。不特定多数の異性との性行為の自粛。