最近「C型肝炎」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。検診などで肝障害を指摘され、病院に行ったら「C型肝炎」と言われて戸惑った方もおられるでしょう。肝臓病にも色々ありますが、特に知っておいて頂きたいのが「ウイルス性肝炎」です。と言うのも、ウイルス性肝炎は肝硬変や肝臓がんに進展する可能性があるからです。
ウイルス性肝炎にはA型、B型、C型、D型、E型が知られていますが、D型肝炎はアマゾン川流域、E型は東南アジア(ヒマラヤ肝炎ともよばれる)などに限られており、日本ではほとんど見られません。日本で多いのはA型、B型、C型です。この中で特に重要なのが「C型肝炎」です。
「肝硬変」や「肝臓がん」という病名はみなさんも聞いたことがあるでしょう。やっかいな病気です。しかし、これらの病気はカゼのようにいきなりかかるのではなく下記のような経過をたどるのがほとんどです。
■症状
慢性肝炎の時には無症状のことが多いですが、倦怠感や食欲不振を訴える患者さんもおられます。
病状が進んでいくと(肝硬変)、本格的に症状を感じるようになります(無症状の人もいます)。
倦怠感・上腹部の鈍痛、膨満感、食欲不振、吐き気、発熱、筋肉痛・関節痛などを自覚するようになり、クモ状血管腫(胸などに小さな血管が浮き出てくる)、女性化乳房(男性の乳房がはってくる)、黄疸(目が黄染されてくる)、手掌紅斑(手のひらが赤くなってくる)、腹水(お腹に水がたまってカエルのように腹が出てくる)、浮腫(足が腫れてきて指で皮膚を押すとくぼみが残る)などの所見も出現してきます。
肝硬変ではアルブミンと呼ばれるタンパク質が低下してきますが、アルブミンは水分を血管内にとどめておく働きがあり、これが低下することによって水分が血管外にしみ出し、浮腫や腹水の原因となります。
また、肝硬変が進行すると門脈という血管の圧が上昇し(門脈圧亢進症)、腹水の原因となったり、食道に静脈のこぶが出来て(食道静脈瘤)、それが破裂すると大量に吐血する患者さんもおられます。
■治療法
▼インターフェロン(IFN)
現在C型慢性肝炎にもっとも有効といわれている治療法で、1992年より保険適応となりました。インターフェロンはウイルスの排除を助け、増殖を抑制す る作用があります。インターフェロンはウイルスに感染したときに体内でもつくられる物質(タンパク質の一種)で、C型肝炎の感染でもつくられるのですが、 量が不十分であることがわかっています。そこで、C型慢性肝炎の患者に外部からインターフェロンを薬として投与しようというものです。
肝炎にかかってからの期間が短く、ウイルスの量が少ない人ほど効果があります。先ほどウイルスの型についてのコーナーで、「インターフェロン療法は、II型よりIII型が効きやすい」とお話ししましたが、重要なのはウイルスの量で、 II型であってもIII型であってもウイルスの数が1ml中に100万個以下であれば効果が期待できます。「インターフェロンが著効するのは投与した患者 さんの4割くらいだ」とお医者さんに言われたことはありませんか?確かに今までそういったデータが多くの施設から出され、定説みたいになっていますが、医 者が適切な検査のもとに適応をきちんと検討すればもっと効果は上がるものと考えられます。
インターフェロンには、α、β、γの3種類があり、現在使用されているのはインターフェロンαとインターフェロンβです。αは筋肉注射・皮下注射、βは静脈注射で投与されます。インターフェロンは2〜4週間くらいの入院が必要で、最初2〜4週間毎日投与され、その後20〜22週間は週3回の投与を行うのが一般的です。
なお、インターフェロンにはさまざまな副作用があり、事前にお医者さんから詳しい説明をしてもらうべきです。
※インターフェロンの考えられる副作用
1)発熱・インフルエンザ様症状
(発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉・関節痛など)
→投与開始時に特によく見られます
(10日前後で改善することが多い)。
坐薬などで対応します。
2)精神神経症状
(抑うつ、けいれん、意識障害、知覚障害、
めまい、眠気、不安、不眠、痴呆症状)
3)ショック症状
(血圧低下、尿量低下、その他)
4)過敏症状
(発疹、かゆみ、その他)
5)血液検査異常
(白血球・血小板数減少、貧血、出血傾向、その他)
6)肝臓障害
(GOT, GPT, LDHの上昇、ときにALP, γGTP,
ビリルビンの上昇、その他)
7)腎臓障害
(蛋白尿、BUN, Cr の上昇、腎障害)
8)消化器症状
(食欲不振、悪心、嘔吐、ときに下痢、便秘、腹痛、
口内炎、口渇、 味覚異常、その他)
9)皮膚症状
(脱毛、発疹、その他)
脱毛は後期の症状です。
10)循環器症状
(ときに心不全、心電図異常、その他)
11)内分泌症状(甲状腺機能異常(亢進症・低下症)、
糖尿病、その他)
12)間質性肺炎
(特に小柴胡湯などの漢方薬との併用に注意)
13)感染症
(肺炎・膀胱炎など)
14)その他
(視力障害、眼底出血、ときに呼吸困難、体重減少、
血清総蛋白減少、注射部位の疼痛など)
15)65才以上の高齢者は副作用の発現が高い
と言われています。
上記の副作用を見て、その多さに驚かれた方もいるかもしれません。しかしこれは患者さんが事前に知っておくべき情報として、出現する可能性がある 副作用を頻度のごく少ないものまで羅列しただけですので心配されないで下さい。医師の適切な指導と副作用の監視のもとにインターフェロンは投与されますの で、どうぞ患者さんは治療に専念して下さい。
▼強力ネオミノファーゲンC(SNMC)
強力ネオミノファーゲンCは、グリチルリチンを重要な成分とする配合剤です。グリチルリチンには抗炎症作用や免疫調節作用があり、特に抗炎症作用は細胞膜の安定化や再生を促進し、肝機能検査でGOTやGPTを効果的に改善させていきます。ただし、これはインターフェロンのようにウイルス自体に対する直接的な作用はありません。また、投与は毎日あるいは週数回、連続して長期間投与する必要があります。インターフェロンの副作用が出やすい高齢者や、何らかの理由でインターフェロンが使用できない方に、肝炎を抑えていくという面で強力ネオミノファーゲンCがいい適応だと思います。
なお、強力ネオミノファーゲンCは副作用が少ない薬剤ですが、グリチルリチンのアルデステロン様作用により低カリウム血症や高血圧をきたすことがあります。また、かゆみを伴う皮疹が出現することもあります。
■予防法
C型肝炎は血液で感染するので、出血を伴うアナルセックスでは、感染する可能性があります。精液についての可能性は否定できませんが、可能性は低いだろうと言われています。アナルセックスの時にコンドームを付けることで予防できると考えられます。
